ペット・セメタリー

ペット・セメタリー
1989年アメリカ作品。監督はこの作品の続編『ペット・セメタリー2』でも監督を務めているメアリー・ランバート。出演はデール・ミッドキフ 、フレッド・グウィン、デニーズ・クロスビーなど。スティーブン・キングの原作を映画化したホラー映画。

ホラー映画ファンにはおなじみのスティーブン・キング原作の作品ですが、この作品は、怖いと言うより悲しい作品です。子供や妻に対する愛情が強いがゆえの悲しみが強く印象に残ります。ミクマク族の伝説の墓地に埋葬すると死者がよみがえるという設定は、ゾンビ系のホラー映画の中では珍しいパターンなので、新鮮ですし、ごくごく一般的な人間が、主人公なので生々しい恐怖があります。また、主人公ルイスの妻レイチェルも姉が自殺してしまった事に関して罪悪感に悩んでいて、心理的な葛藤による恐怖も加わっています。私は、幽霊を信じないわけではないのですが、怖くは無いのでホラー映画を観ても怖いと感じることがありません。そのため、あまりホラー映画は観ないんですが、あまりにも強烈な悲壮感が、他のホラー映画とは違うインパクトを持っていて、忘れられない作品です。愛する家族や友人を失った経験のある方なら、もう一度愛する人に会いたいと願う主人公の気持ちに共感し、悲しみを痛感してしまうと思います。そして、一度失敗しているにも関わらず、同じ事を繰り返してしまう人間の習性にも、絶望的な悲しみを感じます。これ以上は無いだろうというほど悲しい作品ですが、事故で死んだ幽霊が主人公たちを導こうと登場するシーンは、ちょっとユーモラスで、気を紛らわせてくれます。でも、やはり、愛する人と死別したばかりの人は観ない方がいいかもしれません。

間違いだ、あの事故はひどすぎる
愛する人が突然死んでしまった時のショックは、生きる気力を奪い、何か大きな間違いが起きたような気持ちになり、現実を受け入れられなくしてしまいます。この作品の主人公は、狂気にかられた行動を取っているようにも見えますが、愛する人を亡くしショック状態の人間なら、誰でも同じような行動に出てしまうような気がします。
時には死の方がいい
ペッット・セメタリーに埋葬されてよみがえった生き物は、生前とは全く違った邪悪な心を持っています。見かけは同じでも心が全く違っているなら、もう本人とは言えません。生きて罪を重ね続けるぐらいなら、早めに死んだ方がいいのかもしれませんね。

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