旅立ち〜足寄より〜

昭和50年全国フォーク音楽祭・北海道大会”。札幌で開催されたこの大会に、一人遅れてパトカーで到着した若者の姿があった。真っ赤なニッカポッカ姿に大きなサングラス、片手にギター1本持ったこの奇抜なスタイルの男こそ、当時19歳だった松山千春
大勢の客達は明らかに場違いな彼の姿に爆笑するが、そんな会場に「お前らうっせえぞ! 笑ってないで歌を聴け!」と鋭く一喝する千春。そして歌い始めた彼の曲『旅立ち』―。その透き通るようなハイトーンボイスと、切ない別れを歌った歌詞の世界に、さっきまで野次を飛ばしていた観客たちは圧倒され聞き惚れる。結局、生意気な態度が災いしてあえなく落選してしまう千春だったが、審査員として彼の歌を聴いていたSTVラジオディレクター=竹田健二は彼の才能にいち早く気付く。早々に会場を後にしようとする千春に「いつかチャンスが来るから、その時までに作れるだけ曲を作っておけ!」と告げる竹田。これが2人の運命の出会いだった。

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