アバター エクステンデッド・エディション

西暦2154年。
戦争で下半身不随となった元海兵隊員ジェイクは、
資源開発会社RDAが進めるミッションに参加し、
成功させれば高額な両足の治療費を賄ってもらえると云う条件を呑み、
惑星パンドラへ向かう。
パンドラは、高い身体能力と、
青い皮膚に包まれた肉体を持つ種族ナヴィが住んでおり、
彼らの居住区には、地球人にとって有益な資源である鉱石「アンオブタニウム」が
大量に眠っていた。
ジェイクの参加するミッションとは、
人類とナヴィのDNAを合わせて作られたナヴィそっくりのアバター
(人間の意識をリンクさせ、遠隔操作できる生体マリオネット)を使ってナヴィと接触し、
彼らの信頼を得て、
彼らの居住区へ侵攻する際に必要な情報をスパイすると云うものだった。
しかし、ミッション中にナヴィの族長の娘・ネイティリと出会ったジェイクは、
次第に彼女と心を通わせ、
ナヴィを地球人の侵略から守る為、
戦うことを決意するのだった。

以下、ネタばれありの感想です。
 自分にとっては、
去年の夏に公開された劇場版シンケンジャー以来の3D作品だった本作。
観る前は、映画と言うよりも3Dを売りにしたアトラクションのような作品で、
内容はすっかすかだと思っていたのですが、
良い意味で裏切られました。
キャメロン最高傑作…だと個人的に思っている「ターミネーター」(2じゃなく1)と
肩を並べる位、面白かった。
細かい描写が行き届き、張られた伏線も見事に回収され、
内容に殆ど隙が無いのです。

 ネイティリがジェイクに教えるナヴィの慣習の一つ一つが、
ラストで描かれるナヴィと地球人との戦争において、
人類に遥かに劣るナヴィの軍隊が大逆転する起爆剤となっていた構成は、
凄いの一言。
「あ、これはあのシーンが伏線になっていたのね」
と驚かされた回数が一度や二度じゃないんですよ。
自分が一番感動したのは、
はじまりのシーンがエンディングの伏線だったこと。
本作のはじまりは、
自身が見た夢の内容に関するジェイクのモノローグとなっています。
その夢の内容とは下半身不随で動けないはずのジェイクが自身の足を使って歩いているが、
自身の姿は見えず、途中で終わってしまうと云うもの。
これが、ジェイクが自身の肉体を捨て、
アバターに精神をリンクさせたままナヴィとして生きて行くと云うエンディングへ
繋がると分かった時は、感動の余り心震えました。

 アバター、パンドラの原生生物、パワードスーツを代表とした地球側の兵器等々
…これらのギミックがどのようなものなのか、
説明調の台詞ではなく、画で表し、
尚且つそれらを物語の流れの一部に組み込んでいた点も素晴らしい。
百聞は一見に如かずとは言いますが、
画のみでモノの本質を説明することは結構難しかったりします。
そんな中、結構難解な部類に入る(と思われる)本作の設定の数々を、
画のみで説明出来ていたのには参りました。
例えばアバター
アバター接続を解いたジェイクが仲間と会話しているシーンをよく観ると、
口周りに髭がびっしり生えており、
アバター接続中も肉体は活動を停止している訳じゃなく、ちゃんと成長している」
ってことを、言葉では無く画で鑑賞者に教えてくれます。
ちょっとした1シーンで、密度のある情報を伝えている
…こんな描写が、本作では頻繁に見られます。

 キャラクター描写も抜かり無し。
最初は己の足を治療する為だけにナヴィと接触していたジェイクが、
ネイティリと愛し合い、
パンドラの自然に触れ、心変わりしていくシーンが丹念に描かれているので、
彼がナヴィの為に戦うことを決心する所に無理は無く、
非常に説得力がありました。
ジェイクをはじめ、
シガニー・ウィーバー演じるアバタープロジェクトの科学者グレースや、
文字通り「ラスボス」としてパワードスーツを身に纏いジェイクの前に立ち塞がる
RDA保安部門の指揮官クオリッチ大佐等、
脇役達もちゃんとキャラクターが立っており、
皆印象に残っています。

 地球人が侵略者として描写されると云う(ある意味)逆説的な構成、
お互いの信頼によりモノを使役するナヴィと、
それらを必要としないでモノを使役する人類(例:ナヴィの操る原生生物と
人類の兵器との戦闘シーン)と云う二種族の対比等、
本編の大筋とは余り関係の無い、細かい所も凝っていて面白かったです。
これらを見つけることだけを目的に鑑賞するのも、
楽しいかもしれません。

 最後に3Dについて。
劇場版シンケンジャーの感想でも述べたように、
立体映像の進化は目覚しいものがありますね。
浮き出る映像に触れようと、
手を何度も伸ばしそうになりました(笑)。
しかし、これまた劇場版シンケンジャーの感想で述べましたが、
鑑賞後の目の疲れが半端じゃない。
さらに今回は上映時間が長丁場だったこと
(シンケンジャーの上映時間は20分だったのに対し、
こちらは2時間42分)、
画だけでなく字幕スーパー分の疲れが加算された(画と同じく、
字幕も専用眼鏡をかけないと、ぼやけて見えてしまう)こともあり、
目の疲れはシンケンジャーの比ではありませんでした。
字幕スーパー版の作品は3Dで観るもんじゃないですね。
3種類の本編を収録。計178分の「エクステンデッド・エディション」、計171分の「特別編」、162分の「オリジナル版」を収めている。エクステンデッド・エディションに追加されるシーンは「新たな獣の大群」、「ジェイクとネイティリのラブシーン」、「地球から始まる衝撃のオープニング」、「グレース博士のもうひとつのストーリー」で、最後の2つはエクステンデッド版のみの収録。その他の2つは特別編にも含まれている。なお、3D映像は収録していない。
 さらに、約10時間の特典映像も収録。製作ドキュメンタリー、未公開シーン集、3種の撮影方法を重ね合わせて作られた最終映像の分解とその解説、ジェームズ・キャメロン監督による脚本、「アバター百科事典:パンドラペディア」、映画では使われなかったジェームズ・キャメロン監督による5曲の“アバター・ソング”歌詞、スタッフインタビューと製作の裏側、メイキング集、「ビジュアルエフェクトができるまで」