のだめカンタービレ DVD-BOX

実写の強みをフルに生かしたクラシック音楽の魅力は全編に散りばめられており、
コミック的な映像処理をほどこしたドタバタやベタギャグがどれだけ連打されようとも、
音楽はすばらしいという世界観が揺らぐことがないのは頼もしい限り。
ドラマ中のBGMが基本的にクラシックのみという徹底ぶりも潔い。とりわけ、
テーマ曲としてベートーヴェン交響曲第7番をピックアップしているところが、
まさにこの作品のスタンスを物語っている。
つまり標題のある「運命」や「第九」といった有名曲に比肩する名曲をドラマの中心に据えているのだから、
クラシックになじみのない視聴者へのフレッシュなインパクトはいっそう強いはずだ。
この物語が非クラシックファンへのクラシックの訴求を任としているとすれば、
これほどに真っ当な選択肢はないのである。